研究実績の概要 |
甲状腺機能低下症の治療薬において、甲状腺ホルモン製剤のレボチロキシンナトリウム(LT4)は経口製剤(錠剤と散剤)のみである。高齢者などの嚥下機能が低下している患者に対して服用が容易な剤形の選択を増やすという観点から、フォーム製剤を新規製剤として開発することを目的とした。 メチルセルロース(SM-4、信越化学工業)の水溶液(1, 2, 4, 6w/w%)をポンプフォーマー(大和製罐)に加え、吐出することによりプラセボフォームを調製した。そのプラセボフォーム製剤において、溶液の粘度(4℃、23℃)、泡密度、吐出量、プライミング回数について製剤学的評価を行った。さらに、健康成人15名(23.1±0.9歳)を対象に、上記4種類のプラセボフォームの服用性についてvisual analog scale(VAS)ならびに5-point scaleを用いて評価した。 4つの異なるメチルセルロース溶液の粘度は2-150 mPa・secの範囲であり、ポンプフォーマーから排出される泡密度は0.077-0.220 mg/cm3の範囲でした。吐出量の平均と相対標準偏差は、それぞれ0.751-0.788 gと2.6-3.8%の範囲でした。プライミング回数は、すべてのプラセボフォーム製剤において5回であった。健常成人を対象としたプラセボフォームにおける臨床試験では、メチルセルロース濃度2w/w%において総合的な服用しやすさのVASスコアが最も高く(79.0)、メチルセルロース濃度4w/w%および1w/w%がそれに続いた(68.0および67.8)。さらに、5-point scaleにおいても、メチルセルロース濃度2w/w%が最も高値を示した(3.9±1.0, mean±S.D.)。
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