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2018 年度 実施状況報告書

調剤業務の効率化を目指した半固形製剤の混合均一性の予測モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K14967
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

湯谷 玲子  神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (80611350)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード半固形製剤 / 混合性 / 軟膏基剤 / クリーム基剤 / レオロジー特性 / 温度 / 比熱
研究実績の概要

半固形剤の混合性に影響を及ぼす因子を明らかにすることを目的として、本年度は軟膏基剤(白色ワセリン、単軟膏、プラスチベース、マクロゴール軟膏)、クリーム基剤(親水クリーム、吸水クリーム)を用いて同一基剤間および異なる基剤間の混合性を検討した。
混合後の均一性を可視化するために、基剤をSudan IIIあるいはMethylene blueを用いて着色した。着色により各基剤のレオロジー特性に変化が生じたため、軟膏壺に加える順序が混合に要する時間に影響する可能性が考えられた。そこで、着色した基剤と未着色の基剤を、順序を考慮して軟膏壺に加え、自転公転式ミキサーを用いて2000回転、30秒間の混合を均一な外観となるまで繰り返した。しかし結果として、軟膏壺に加える順序は所要時間にほとんど影響しなかった。
同一基剤間の混合において、白色ワセリンは、硬さ、粘着性がプラスチベースに次いで低く、粘性は中程度、展延性が最もよいにもかかわらず均一な外観となるまでに比較的長い時間を要した。対照的にマクロゴール軟膏は、硬さ、粘着性が白色ワセリンより高く、すべての基剤中で最も高粘度であるにもかかわらず、短時間で均一な外観となった。
レオロジー特性以外の要素が混合性に影響していることが考えられたため、ミキサーを用いた撹拌によって生じる熱に着目した。30秒間の撹拌後の各基剤の温度を測定したところ、温度上昇はマクロゴール軟膏が最も大きく、白色ワセリンは小さかった。DSC法により各基剤の比熱を測定したところ、マクロゴール軟膏の比熱は小さく、白色ワセリンは比較的大きかった。以上の検討結果から、撹拌による基剤の温度上昇が、混合性の改善に寄与している可能性が示唆された。
さらに異なる基剤間での混合性を検討したところ、同一基剤間で混合されにくかった白色ワセリンや単軟膏と混合した場合、所要時間が長くなる傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

着色による基剤のレオロジー特性の変化が予想より大きかったことから、軟膏壺に加える順序を考慮して均一性の評価を行った。また、混合を行う過程で、撹拌により発生する熱が混合性に影響する可能性があることが想定されたことから、当初の実施計画にはなかった混合後の基剤の温度の測定や比熱測定を行った。そのため、もう一つの混合性の評価手法として実施を予定していたラマン分光法による評価の開始に遅れが生じたが、現在は、白色ワセリンの測定を行い、今後の混合性の評価につなげるための検討を行っている。

今後の研究の推進方策

ラマン分光法を用いた各基剤間の混合性の評価を早期に行う。色素法による結果と比較し、評価法の妥当性を検証する。これにより、混合性の評価の精度を高める。基剤のレオロジー特性を大きく変化させる添加物を用いたモデル製剤を調製し、レオロジー特性と混合性との関係をより明確にする。また、同時に熱特性についても検討する。これらの検討により、混合性に影響する因子を明らかにしていくことで、実際の半固形製剤の混合性の予測につなげていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた物品を既存のもので代用することができたため、未使用額が生じた。また、ラマン分光法を用いた評価の実施開始が遅れたため、未使用額が生じた。未使用額は次年度にレーザーラマン顕微鏡の使用料、旅費および解析ソフトの購入費用に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 半固形製剤の混合性に影響する因子の検討 -軟膏、クリーム基剤間の混合性の比較-2019

    • 著者名/発表者名
      湯谷玲子、河野真希、安福泉、今坂優希、山地佑太、田中晶子、古林呂之、坂根稔康
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会

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公開日: 2019-12-27  

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