研究課題
研究の目的は、小分子有機化合物による転写因子群を介した脱分化・分化転換機構の寄与を明らかにし、転写因子群を介した分化転換機構制御によるインスリン分泌細胞数を促進させることである。2018年度は、野生型ならびにストレプトゾシン処置Ⅰ型糖尿病モデルをコントロールとして、被検群に2種類の給餌に混じて経口投与により化合物を投与した。これら3群から膵臓を摘出して遺伝子発現についてマイクロアレイ解析を施行した。発現に変化のあった遺伝子群でpathway解析を行ったところ、ドパミン作動性神経とビタミンB6に関する代謝経路の活性化、ならびに、プロピオン酸をはじめとする糖質/脂質の代謝経路、MAPK経路下流の細胞周期に関与する分子群の発現にも変化を認めた。更に、カルシウム制御等のインスリン分泌にかかわる経路の発現変化も認めた。2018年度は、3群それぞれの個体の膵臓のミクロの形態計測を行い、血糖値とインスリン分泌量の逆相関、α細胞の面積に著変を認めないもののインスリンに対する免疫組織学的反応を有する細胞面積も血糖値に逆相関していたことを見いだしている。これらの結果より、少なくともα細胞からβ細胞へ分化転換することで、インスリンの産生量の増大をもたらしたというよりも、インスリン産生細胞数の再増加による影響を受けた変化であると示唆された。以上より、膵β細胞などの細胞増殖に関係するとみられるcell cycleに関係する分子群が活性化された結果、上記の発現変化したのではないかと示唆された。これらの遺伝子群うち、先ずはMAPK経路をはじめとするcell cycleに関与し、且つ発現増加した9つの遺伝子に付いて注目して解析を進めている。
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