研究実績の概要 |
令和2年度は前年度に引き続き、メロキシカムのMPP+誘導性神経細胞死抑制作用のターゲット分子の探索を行った。
計画1メロキシカムの神経保護作用のメカニズムの解明のため、タンパク質Aの下流分子Zの阻害剤がメロキシカムによるMPP+誘導性神経細胞死の抑制作用を阻害するか検討した。その結果、WST-8, LDH法のいずれでも阻害剤濃度依存的にメロキシカムの作用を阻害した。さらに、Aktのリン酸化を確認したところ、メロキシカムによるAktのリン酸化保持作用が阻害された。従って、分子Zはメロキシカムの神経保護作用に関与していることが明らかとなった。
計画2メロキシカムのターゲット候補であるタンパク質Aの内因性リガンドを用いて、MPP+誘導性神経細胞死が抑制されるかWST-8法を用いて検討した。その結果、内因性リガンドでは、メロキシカムのようなMPP+誘導性神経細胞死の抑制は認められなかった。また、メロキシカムと内因性リガンドを共存させた場合、メロキシカムによる神経細胞保護作用が、競合的に阻害されるか調べたが、競合阻害は認められなかった。しかしながら、タンパク質Aに対して、3種類の構造の異なる阻害剤で、メロキシカムの神経細胞保護作用が、阻害されていること(WST-8法、LDH法)を本研究で明らかにしている。従って、メロキシカムはタンパク質Aに対して、内因性リガンドとは異なる部位に結合し、部分的にタンパク質Aを活性化している、すなわちメロキシカムはタンパク質Aに対して、バイアス型アゴニストとして作用するのではないかと考えられた。
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