研究課題
悪性腫瘍患者において、感染症は化学療法の継続や患者予後に大きな影響を与える合併症の一つであり、迅速かつ適切なマネジメントが重要となる。適切な抗菌薬治療を考える上で起炎菌等に関する疫学的データは貴重である。新規薬理作用を有する抗がん剤の上市により、がん化学療法は著しい進歩を遂げている一方で、悪性腫瘍患者に生じる感染症の起炎菌等に関する経年的な変化を調査した報告は少ない。悪性腫瘍患者の感染症を対象とした研究の多くは発熱性好中球減少症患者や造血器腫瘍患者など特定の患者群を対象としたものがほとんどであり、悪性腫瘍の大半を占める固形腫瘍を対象とした調査はほとんどない。本研究は、疫学的データが乏しい固形腫瘍患者をターゲットとし、血流感染の起炎菌の細菌学的特徴の経年的変化、転機、予後に関連する臨床的因子を明らかにすることを目的に行った。2018年度は、2010年1月から2018年12月までに血液培養陽性となった患者のうち悪性腫瘍患者を対象とし、各症例の分離菌、薬剤感受性、患者背景、抗がん剤治療、抗菌薬治療、転機などに関するデータを電子カルテより収集した。調査期間中に血液培陽性となった患者は2319人で、そのうち固形腫瘍患者832人のデータを抽出した。現在、データを精査し、分離菌種、感受性の経年変化や転機、予後因子についての検討を開始している。
2: おおむね順調に進展している
調査期間中の対象患者の抽出、臨床データの収集は完了している。今後、データを精査し、統計的な手法用いて解析を行う。
2010年から2018年をⅠ期(2010年~2012年)、Ⅱ期(2013年~2015年)、Ⅲ期(2016年~2018年)に分け、分離菌の菌種や薬剤感受性の変化を検討する。また、固形腫瘍患者において血流感染の予後に影響する臨床因子を統計的手法を用いて明らかにする。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件)
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