研究課題
若手研究
FXa阻害剤の腎保護効果を片側尿管結紮(UUO)誘導腎線維化モデルマウス(UUOマウス)とFAERSデータベースを用いて検討した。UUOマウス腎臓において、FX、FXa受容体PAR-1とPAR-2の発現が増加した。エドキサバン投与はUUOマウスにおける尿細管間質線維化、細胞外マトリックス発現、マクロファージ浸潤、炎症性分子発現増加を抑制した。FAERSデータベース解析において、FXa阻害剤投与患者においてはFXa阻害剤非投与患者と比較して尿細管間質性腎炎の報告割合が少なかった。FXa阻害剤が尿細管間質線維化を抑制することで慢性腎臓病において保護効果を及ぼすことが示唆された。
医療薬学
超高齢社会日本において、透析予備軍である慢性腎臓病患者数は1,300万人以上と言われており、慢性腎臓病を惹起・進展させないことは非常に重要なため、慢性腎臓病の病態解明と新規治療法の開発は喫緊の課題である。本研究では、基礎研究と医療ビッグデータ解析により既存薬であるFXa阻害剤が慢性腎臓病の新規治療候補薬になる可能性を見出した。既存薬であるため、臨床的な安全性が確立されており、新たな副作用のリスクが低いと考えられ、今後の臨床応用が期待される。