研究課題/領域番号 |
18K14990
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横山 雄太 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (70725796)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | TDM / PK/PD/PGx / POCT / DBS |
研究実績の概要 |
薬局・居宅での薬物濃度の把握を通じ、薬物治療の最適化を目的とし、TDMの対象薬である抗不整脈薬、抗てんかん薬、テオフィリン等の臨床薬物動態(PK)/薬力学(PD)/ゲノム薬理(PGx)関係を明確にし、臨床現場において個別至適な投与法を確立する。 薬局・居宅でのTDMを実施する際に、dried blood spot(DBS)法およびdried plasma spot (DPS) 法の活用が有用であると考えれる。しかし、DBS法の欠点として、DBS法は全血を用いて測定を行うため、臨床に応用する場合、全血中の薬物濃度を血漿中の薬物濃度に換算する必要がある。また、DPS法ではそのカード内に血漿分離操作が組み込まれており、全血中の薬物濃度から血漿中の薬物濃度への換算を必要としないが、使用薬剤によっては分離段階で除去されるという報告がある。2018年度は臨床応用を目的として、研究実施計画には予定していない動物実験(承認番号:18021-(0)) を実施した。ピルシカイニド、ベプリジルを対象薬物とし、DBS法およびDPS法の測定方法による回収率を算出し、ラットモデルでの検討により薬物を単独で投与し、得られた全血をプロットしたDBSカードおよびDPSカードによる薬物濃度と従来法の採血による血漿濃度の結果と比較検討を実施した。ピルシカイニド、ベプリジル共にLC-MS/MSによる測定により良好な検量線が得られ、DBSサンプルでは回収率はピルシカイニドで105.3%であり、ベプリジルで42.6%であった。 DPSサンプルでは回収率はピルシカイニドで79.7%であり、ベプリジルで20.3%であり、DBS法とDPS法とを比較すると、DBS法の方が回収率が高いという結果になった。DBS法の全血薬物濃度からの血漿中薬物濃度への換算法については、2019年度も継続的に検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は薬局・居宅での迅速TDM体制の構築により血液試料、乾燥血液ろ紙を採取できる連携システムの実施体制を整え、生体試料(血液、乾燥血液ろ紙)・データを入手し、PK/PD/PGxモデリングを行う予定であった。当初は研究協力連携施設として株式会社メディカルファーマシー あおぞら薬局の管理薬剤師を中心とした連携が順調に進んでいたが、店舗異動の為、共同研究が出来なくなった。そこで、新たに共同研究施設として、木須薬局駅前店と連携体制を確立させ、臨床研究の実施に向けて、倫理審査委員会に申請中である。 また、DBS法は居宅患者や外来患者に対するTDMへの応用が期待されているが、臨床応用を検討した際に、DBS法の欠点として、DBS法では全血濃度測定を行うため、臨床に応用する場合、全血中の薬物濃度を血漿中の薬物濃度に換算する必要がある。そこで、臨床応用を目的として、ラットモデルでの検討により薬物を単独で投与し、得られた全血をプロットしたDBSカードによるDBS濃度から換算された血漿濃度と従来法の採血による血漿濃度の結果と比較検討を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は共同研究施設と連携して、臨床研究が倫理審査委員会から承認後、薬局における喘息患者のテオフィリンの服用患者を対象として、本研究の参加について説明し、内容を理解・納得した上で同意書にて同意を得る。患者の同意を得た後に、検体の採取を開始する。薬局において簡便なTDMを可能とする目的として、薬局において微量採血を行い、血漿およびDBS法により全血テオフィリン濃度測定を行い、マウスモデルにより確立された全血薬物濃度からの血漿中薬物濃度への換算法を用いて、全血テオフィリン濃度より血漿濃度を算出ことにより、換算式の妥当性を検討する。また、喘息治療薬であるテオフィリンによる治療を受けている患者のTDMにより、Phoenix WinNonlinおよびPhoenix NLMEを用いて薬物動態解析を行い、薬局における患者での薬物投与設計を行う。薬局においてテオフィリン服用患者の目標症例を15例とする。
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