研究期間を通じて、胚発生過程で生じる尾部退縮のメカニズム解明に取り組んだ。細胞死に着目し尾部退縮との関連を調べたニワトリプロジェクトでは、尾部神経管における細胞死が重要である可能性がみえてきた。またハムスタープロジェクトでは、尾長の異なる齧歯類の尾部形態形成過程を比較した。短尾種でのみ尾部退縮が見られたことから、短尾形質を形成する発生過程のメカニズムが広く有羊膜類間で保存されている可能性がみえてきた。さらに、従来は尾部退縮異常により生じるとされてきたヒトの先天異常「Human tail」について尾部退縮異常が成因ではなく4種の異なる成因が考えられることを見出した。
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