研究課題
本研究課題は、脳梗塞領域に出現する胆汁酸を「脳由来胆汁酸」と捉え、その合成メカニズムと生理機能を明らかにする事により新規脳梗塞治療法確立を目指している。令和3年度は、胆汁酸合成不全マウス作製および解析を行った。まず胆汁酸合成律速酵素であるCyp7a1を欠損するマウスの作製をおこなった。CRISPR-Cas9システムによりCyp7a1遺伝子座(約7000bps)を欠損させるためにCyp7a1遺伝子exon1およびexon6の近傍に相互作用するCRISPR RNAを各4種類設計した(UP1-4、DW1-4)。その後、iGONAD法を用いてマウス受精卵に遺伝子導入しゲノムPCRによりゲノム編集の有無を確認した。その結果、UP4/DW3のCRISPR RNAセットにより片アレルでのCyp7a1遺伝子座欠損をゲノムPCRおよびゲノムDNA塩基配列解読により確認した。Cyp7a1ヘテロKOマウス(F0)の交配によりF1世代を獲得しさらに交配を進めることで現在F3世代を得ている。F2世代においてCyp7a1ホモKOマウスを得たため、8週齢オス個体をもちいて還流固定、急性凍結切片作製、免疫組織染色、ウエスタンブロットをおこなった。その結果、肝臓および脳においてCYP7A1が発現しないことを確認した。今後、このCyp7a1ホモKOマウスにおいて脳梗塞手術をおこない、梗塞範囲変化、記憶学習に関する行動実験、グリア細胞動態等を評価し、個体レベルでの脳由来胆汁酸シグナルの生理的意義を明らかにする。
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Frontiers in Cellular Neuroscience
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FEBS Open Bio
巻: 12 ページ: 82-94
10.1002/2211-5463.13286.
http://www3.kmu.ac.jp/anatomy/