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2018 年度 実施状況報告書

代謝関連分子の網羅的絶対定量に基づく骨格筋代謝研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K15011
研究機関九州大学

研究代表者

松崎 芙美子  九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (10631773)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード代謝 / 骨格筋 / インスリン / プロテオミクス / 微分方程式モデル
研究実績の概要

本研究では、インスリン投与によりマウスの代謝改変を誘導後、骨格筋構成分子の量的・質的変化を経時的に定量し、骨格筋代謝制御に与える分子間相互作用の影響を解析する。平成30年度は、以下のとおり骨格筋構成分子の量的変化の計測を行った。
12-16時間絶食後、C57BL/6J野生型マウス (10週齢) にインスリンを腹腔内投与 (0.7 U/kg) し、経時的 (0-4時間の間の計13点) に両足の腓腹筋を採取した。各時点につき3個体実施し、コントロールとしてはPBSを投与した。採取した腓腹筋より代謝物・タンパク質・total RNAをそれぞれ抽出し、大規模計測に至適化した方法にてサンプル調製を実施した。ただし、計測スループットの問題から、代謝物は全13時点で行ったのに対し、タンパク質およびRNAは5時点分のみとした。これらのサンプルを用いて、代謝物・タンパク質については質量分析 (それぞれCE-MS・LC-MS/MS解析) を、RNAについてはディープシークエンスを行った結果、119代謝物、1,795タンパク質、18,387 mRNAが同定・定量された。各分子の時系列データについて、全時点数の半数以上の定量値が得られているもののみを抽出後、さらに大きなノイズを含むものを除外した結果、97代謝物、1,582タンパク質、16,039 mRNAの時系列データが得られ、これらがさらなる数理的解析に使用可能と判断された。これにより、体内エネルギーの状態変化に伴う骨格筋構成分子の量的変化の情報が大規模に得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

大部分の骨格筋構成分子の定量およびデータ品質の確認が順調に進行した。

今後の研究の推進方策

インスリン投与後における腓腹筋タンパク質上のリン酸化量変化の定量はまだ実施できていないため、これを行う。また平行して、取得した定量データと各分子同士の既知の関連性を基に代謝関連分子の微分方程式モデルを作成し、そこから骨格筋代謝制御の定量的性質を解明するためのスキームを開発する。解析対象分子数は膨大で、かつこれらは異なる原理で同定・定量されているため、様々な分子IDや既知の機能、ネットワークの情報等をデータベースより取得し、必要に応じて分子間のIDマッチングや既知機能による選択等を行う必要があるため、この処理を自動化・最適化する。特に代謝反応の知見については、代謝マップのネットワーク構造より腓腹筋に存在する経路を抽出してその情報を使用する。リン酸化はタンパク質機能に影響を及ぼす因子として定式化する。モデルパラメータは、発見的手法と非線形最適化を組み合わせた方法で推定するが、効率化のためにパスウェイ単位でネットワークを細分化してそれぞれパラメータ推定を行った後に、それらを徐々に連結させてパラメータを再調整することを繰り返す。これにより、最終的にはより大きなネットワークについて取得データと可能な限り整合性がとれるようなパラメータの推定を試みる。

次年度使用額が生じた理由

タンパク質リン酸化の定量が予定より遅れたため、それに伴い必要経費も次年度に使用する必要が生じた。タンパク質リン酸化の定量の見通しは既に立っているため、必要となる消耗品を随時購入しつつ着実に実行する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Time Series Transomics: Integrated analysis through multiple molecular layers2019

    • 著者名/発表者名
      Fumiko Matsuzaki, Shinsuke Uda, Yukiyo Yamauchi, Masaki Matsumoto, Keiichi I. Nakayama, Hiroyuki Kubota
    • 学会等名
      1st International symposium on interdisciplinary approaches to integrative understanding of biological signaling networks
    • 国際学会
  • [学会発表] Time Series Transomics: Integrated analysis through multiple molecular layers2019

    • 著者名/発表者名
      Fumiko Matsuzaki, Shinsuke Uda, Yukiyo Yamauchi, Hiroyuki Kubota
    • 学会等名
      2nd Diversity Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] 時系列トランスオミクス解析2019

    • 著者名/発表者名
      松崎芙美子, 宇田新介, 山内幸代, 黒田真也, 久保田浩行
    • 学会等名
      定量生物学の会 第九回年会
  • [学会発表] TRANSOMICS: Integrated Analysis Through Multiple Molecular Layers2018

    • 著者名/発表者名
      Fumiko Matsuzaki, Shinsuke Uda, Yukiyo Yamauchi, Hiroyuki Kubota
    • 学会等名
      The 19th International Conference on Systems Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] TRANSOMICS: Integrated Analysis Through Multiple Molecular Layers2018

    • 著者名/発表者名
      Fumiko Matsuzaki, Shinsuke Uda, Yukiyo Yamauchi, Kazumitsu Maehara, Yasuyuki Ohkawa, Masaki Matsumoto, Keiichi I. Nakayama, Hiroyuki Kubota
    • 学会等名
      The Joint Symposium of the 13th International Symposium of the Institute Network for Biomedical Sciences and the 28th Hot Spring Harbor International Symposium 2018
    • 国際学会
  • [備考] 九州大学 生体防御医学研究所 統合オミクス分野

    • URL

      http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/labo/omics/

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公開日: 2019-12-27  

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