研究実績の概要 |
高濃度IKr阻害薬(E-4031)投与、イソプロテレノール負荷(ICaL増強)、ジギタリス投与(Na+-K+ポンプ抑制)等により早期後脱分極(EAD)・遅延後脱分極(DAD)の誘発を活動電位記録にて確認し、ホールセル・パッチクランプならびにCa2+測光装置を用いた細胞内Ca2+濃度測定により、後脱分極発現条件下で活動電位と細胞内Ca2+濃度の測定および形質膜イオンチャネル電流(ICaL, IKr, IKs他)の測定を行い、様々な薬物濃度と刺激頻度を用いて疾患モデル細胞における後脱分極の発現条件(IKr抑制度、ICaL増強度、刺激頻度の影響等)と発生機序(特にICaL再活性化・不活性化、筋小胞体Ca2+遊離の関与)を検討した。EADの解析では、後脱分極発現条件下での形質膜イオンチャネル電流密度を確認するとともに「電流‐電圧特性」と「ICaLの窓電流」を計測し、EAD非発現条件下と比較してその差異(ICaL再活性化の関与)を明らかにした。カテコラミン負荷時に生じる後脱分極は筋小胞体からの自発的Ca2+遊離によるとされている(Zhao et al, Am J Physiol, 2012)。そこで、細胞内Ca2+濃度測定を行い、イソプロテレノール負荷による後脱分極発現の際にCa2+濃度振動が生じるか否か、筋小胞体Ca2+遊離チャネル阻害薬(ライアノジン)と筋小胞体Ca2+ポンプ阻害薬(タプシガルギン)の後脱分極抑制効果を確認して、筋小胞体の関与を検討している。
|