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2018 年度 実施状況報告書

非アルコール性脂肪肝炎NASHの病態解明~腸粘膜バリア機能からのアプローチ~

研究課題

研究課題/領域番号 18K15029
研究機関島根大学

研究代表者

臼田 春樹  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30707667)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードleaky gut syndrome / NASH / メタボリックシンドローム / 腸内細菌 / 腸粘膜バリア / 診断薬
研究実績の概要

マウス食餌誘導性NASHモデルにおいて、飼料投与1か月から小腸下部あるいは大腸において腸粘膜バリア機能の低下が観察された。そして、この現象は飼料投与8か月まで持続することが確認された。飼料投与1か月の時点では末梢血GOTおよびGPTの値は増加しているが、肝臓組織のHE染色像からは脂肪肝になり始める状態であったことから、NASH誘発飼料は肝臓の障害が生じる初期の段階から慢性的な腸粘膜バリアの低下(leaky gut syndrome: LGS)を引き起こすことが考えられる。特に小腸下部から大腸にかけてはリポポリサッカライド(LPS)を産生する腸内細菌が多く生息するため、LGS状態が持続することによって腸内細菌由来のLPSが肝臓へ到達し、肝障害を悪化させる可能性が考えられる。また、再現性の検証が未実施である検討ではあるが、上記検討で使用した飼料の成分のうち、トランス脂肪酸を欠如させた飼料を3か月投与して同様の検討を行ったところ、LGSは誘発されなかった。したがって、トランス脂肪酸はLGS誘発の責任因子となりうる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は肝障害が誘発されるどの段階でLGSが生じるのかを明らかにすること、ならびにその責任因子の特定を目標として検討を行ってきた。研究実績の概要で述べたように、これら2つの目的はおおむね達成できたことから、当初の研究計画通りの順調な進捗状況であるといえる。

今後の研究の推進方策

トランス脂肪酸不含飼料の投与実験結果について再現性を検討しつつ、腸粘膜バリア機能の低下や肝障害が生じる前後で腸内細菌叢、血中・肝臓中におけるLPS量、発現する生体機能因子のmRNA発現の変化を調べる。これら因子の量的・質的な発現の変化と腸粘膜バリア、NASHの進行度合いとの相関性から発症・増悪因子を絞り込む。

次年度使用額が生じた理由

検討課題がスムーズに遂行できたため、予定よりも実験動物費用や研究にかかる消耗品、試薬の購入費用が少額で済んだ。次年度は次世代シーケンサーの解析や血中LPSの測定などを迅速かつ正確に行う必要が今年度より多く見込まれるため、それらの費用に繰り越し分を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 その他

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [学会発表] Functional role of nonalcoholic fatty liver disease associated microRNAs in adipocyte differentiation.2018

    • 著者名/発表者名
      Jahan, I., Okamoto, T., Usuda, H., Tanaka, T. and Wada, K.
    • 学会等名
      第3回黒潮カンファレンス
  • [学会発表] Leakygut syndrome の病態解明を目的とした腸粘膜の低下を呈する動物 モデルの作製と新規診断法の確立2018

    • 著者名/発表者名
      臼田春樹、新林友美、Kaji Hossain Helal、Israt Jahan、田中徹也、岡本貴行、三島 義之、石原俊治、和田孝一郎
    • 学会等名
      第3回黒潮カンファレンス
  • [学会発表] NAFLDと腸内細菌2018

    • 著者名/発表者名
      結束貴臣、小林貴、本多靖、小川祐二 、今城健人、米田正人、斉藤聡、臼田春樹、和田孝一郎、中島淳
    • 学会等名
      第3回黒潮カンファレンス
  • [学会発表] Novel method for evaluating leaky gut syndrome induced by NSAIDs/PPI and ischemia with health food-derived reagents.2018

    • 著者名/発表者名
      Usuda H., Niibayashi T., Tanaka T., Okamoto T. and Wada K.
    • 学会等名
      World Congress of Basic and Clinical Pharmacology, 2018
    • 国際学会
  • [備考] 第3回黒潮カンファレンス

    • URL

      https://www.med.shimane-u.ac.jp/gakkai/kuroshio3rd/

  • [備考] 島根大学医学部薬理学講座

    • URL

      https://www.med.shimane-u.ac.jp/pharmacology/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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