研究実績の概要 |
近年、研究代表者は血管平滑筋型ATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル)のサブユニットタンパク質の組み合わせはKir6.1/SUR2Bであり、血管平滑筋型KATPチャネルは“膜電位を一定に保つフィードバック機構”を有し、血管のトーヌス(筋緊張)および血管径の維持・調節に重要な役割を果たしていると報告した(Yamamoto et al., 2015, 2017)。 本研究は、研究代表者がこれまで行ってきた血管平滑筋型KATPチャネルに関する分子薬理学的研究をさらに発展させ、近年、心血管イベントの抑制作用が明らかとなった2型糖尿病治療薬「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1:Glucagon-like peptide-1)受容体作動薬」を用い、血管作動性因子としての血管平滑筋型KATPチャネルに対するリン酸化修飾機序を多角的に解明することを研究目的としている。すなわち、「GLP-1受容体作動薬」投与による血管平滑筋における細胞内シグナル伝達機序の詳細を明らかにし、血管平滑筋型KATPチャネルに対するリン酸化制御機構を解明する基礎的研究である。 「GLP-1受容体作動薬」投与による細胞内シグナル伝達機序として想定されるPKAシグナル経路をより詳細に解明するため、PKAの活性化薬および阻害薬を併用し、等張性収縮実験法による「GLP-1受容体作動薬」の薬理学的作用の評価や最新技術の時間分解蛍光-蛍光共鳴エネルギー転移法(TR-FRET法:Time-Resolved Fluorescence Resonance Energy Transfer)による細胞内cAMP濃度測定などの実験系の確立・最適化を図り、データ採取および解析を行った。
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