糖尿病性心筋症の早期に認められる拡張障害の原因である心筋細胞カルシウムシグナル制御破綻の分子機序解明を目的として、ストレプトゾトシン(STZ)誘導1型糖尿病モデルマウスの解析を行った。STZ投与後4週間では拡張能が低下し、心室ホスホランバン(PLN)、eNOSのリン酸化レベルが低下したものの、インスリン投与により血糖値によらず回復した。定常状態のPLNのリン酸化は、インスリン-NO-PKG経路によって維持されることを見出した。インスリン作用不足によるPLNリン酸化レベルの低下が、糖尿病性心筋症の発症と進展に寄与することが示唆された。
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