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2018 年度 実施状況報告書

脳卒中後再生モデルにおけるneurovascular unit再構築機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15035
研究機関近畿大学

研究代表者

西中 崇  近畿大学, 医学部, 助教 (50786184)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード脳卒中 / neurovascular unit / 血管内皮細胞 / マクロファージ / 神経再生 / HMGB1 / 血小板
研究実績の概要

脳組織再生治療法開発には、神経・グリア・血管系から構成されるneurovascular unit(NVU)による異なる細胞間の相互作用のメカニズムを理解し、機能的ネットワーク障害に対してNVUを進展させることによる包括的なネットワーク再構築誘導法の発見の必要があると提唱された。NVUを構成する血管内皮細胞は、単に栄養や酸素を送り届けるだけでなく、神経細胞やグリア細胞の活動と連関し、神経組織修復作用をもつことが知られている。本研究では、再生を誘導する因子としてdamage -associated molecular patern(DAMP)の1つであるhigh mobility group box1(HMGB1)に着目し、血管新生並びに脳神経再生における役割について検討を行った。
脳卒中自然発症モデル動物(SHRSP)において、脳卒中発症による異常行動の発現と一致して、血液脳関門の破綻、すなわち、NVUの障害を確認した。脳卒中発症後、異常行動が自然消失したSHRSPでは血液脳関門の破綻も回復しており、脳病変は軽度であった。脳障害領域においてマクロファージのマーカーであるCD68陽性ならびにCD163陽性細胞の浸潤が認められた。一方、脳障害領域ではHMGB1陽性細胞が低下しており、血漿中HMGB1量の低下も認められた。HMGB1の供給源として報告されている血小板は脳卒中発症の2-3週間前から血小板容積の増加が認められ、脳卒中発症直前から血小板数が低下していた。したがって、血液凝固系の亢進が起こる以前に生じた血小板の異常は、血管障害の発現時期と関連している可能性がある。
マクロファージの機能調節に関わる因子に関して、スカベンジャー受容体の発現変化を指標にした比較検討を行った。さらに、マクロファージの貪食や酸化ストレスを評価する実験系を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予想していたよりもSHRSPの脳卒中による病変が軽度であったため、血液脳関門の破綻を指標にしてNVUの障害を評価した。その結果、NVUの障害を組織学的に解析する実験系を確立することができ、HMGB1の発現変化を解析することができた。経時的に脳組織ならびに血漿サンプルを回収した。同時に、脳卒中発症前後における血球系の動態を解析したところ興味ある知見が得られたため、現在、論文の作成を行っている。

今後の研究の推進方策

脳卒中後のNVU再構築の機序解明については血管内皮細胞とマクロファージの細胞間相互作用を中心に検討を進める。既に血管内皮細胞とマクロファージの共培養による血管新生のin vitro評価系は確立しており、HMGB1の効果について検討を行う。さらに、HMGB1以外のDAMPsの中にも、マクロファージの機能に影響することをin vitroで確認しており、今後、血管新生やNVU再生の関与について検討を行う。
脳卒中発症前に認められる血小板の変動に関しては、バイオマーカーとして臨床研究に発展できる可能性がある。脳卒中の発症リスクと相関があるとされている炎症性メディエーターと血小板の変動について検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

血球系に関して、当初計画に予定していなかった血小板の変動に関する知見が得られたため、先に解析を進めた。血球系の解析は大学の共同設備を使用しており、比較的に少ない費用で行うことができた。SHRSPの脳組織や血液サンプルの回収は進んでいるため、今年度は回収したサンプルの解析を中心に実験を行う。そのための抗体等の試薬を購入する。また、各種メディエーターの解析をin vitroで行うため、その消耗品の購入に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Effects of scavenger receptors-1 class A stimulation on macrophage morphology and highly modified advanced glycation end product-protein phagocytosis2018

    • 著者名/発表者名
      Hamasaki Shinichi、Kobori Takuro、Yamazaki Yui、Kitaura Atsuhiro、Niwa Atsuko、Nishinaka Takashi、Nishibori Masahiro、Mori Shuji、Nakao Shinichi、Takahashi Hideo
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 5901-5901

    • DOI

      10.1038/s41598-018-24325-y

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Interleukin-18 Amplifies Macrophage Polarization and Morphological Alteration, Leading to Excessive Angiogenesis2018

    • 著者名/発表者名
      Kobori Takuro、Hamasaki Shinichi、Kitaura Atsuhiro、Yamazaki Yui、Nishinaka Takashi、Niwa Atsuko、Nakao Shinichi、Wake Hidenori、Mori Shuji、Yoshino Tadashi、Nishibori Masahiro、Takahashi Hideo
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 9 ページ: 334-334

    • DOI

      10.3389/fimmu.2018.00334

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] マクロファージにおけるscavenger receptors-1 class A を介した終末糖化産物の取り込み2019

    • 著者名/発表者名
      77.西中 崇, 山﨑 由衣, 丹羽 淳子, 森 秀治, 和氣 秀徳, 西堀 正洋, 髙橋 英夫
    • 学会等名
      第92回日本薬理学会年会
  • [学会発表] Screening of sulfated polysaccharide and sugar-related compounds as the regulator of advanced glycation end-products uptake by macrophage.2018

    • 著者名/発表者名
      Takashi Nishinaka, Takuro Kobori, Yui Yamazaki, Shinichi Hamasaki, Atsuhiro Kitaura, Atsuko Niwa, Shuji Mori, Masahiro Nishibori, Hideo Takahashi
    • 学会等名
      WCP2018
    • 国際学会
  • [学会発表] マクロファージによる終末糖化産物の取り込みに対する硫酸化多糖類の影響2018

    • 著者名/発表者名
      75.西中 崇, 山﨑 由衣, 丹羽 淳子, 森 秀治, 和氣 秀徳, 西堀 正洋, 髙橋 英夫
    • 学会等名
      第134回日本薬理学会近畿部会
  • [備考] 近畿大学医学部薬理学教室

    • URL

      https://www.med.kindai.ac.jp/pharma/

  • [備考] 薬理学教室|近畿大学医学部・大学院医学研究科

    • URL

      https://www.med.kindai.ac.jp/laboratory/pharmacology/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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