研究課題/領域番号 |
18K15036
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲生 大輔 金沢大学, 医学系, 助教 (40721981)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イメージング / 核 / クロマチン / 脳 |
研究実績の概要 |
本研究は、マウス脳組織切片の核染色画像とそれに付随する免疫染色像から、細胞の状態の違い・機能の違いなどを解読することを目標としている。オープンクロマチンは核の中でもゲノムがゆるんだ状態で遺伝情報が読み取られやすくなっている領域であり、細胞の状態や機能を反映していると考えられる。まず申請者は本研究における基盤技術の1つとして”オープンクロマチン領域”を可視化するタンパク質型プローブの開発を進めてきた。今年度は、本プローブが本当にオープンクロマチン領域を認識しているかどうか? を次世代シーケンサー解析を用いて調べた。本プローブを発現したHeLa細胞から結合したゲノム領域を免疫沈降により単離し、libraryを作製し、次世代シーケンサーを用い解析した。本プローブの結合領域は、HeLa細胞におけるATAC-seqの標的配列やeuchromaticなエピゲノム配列と強い相関があり、オープンクロマチン領域に高い選択性を持って結合することが明らかとなった。今後は本プローブを個体の脳組織に導入し、解析を進めていく予定である。また、脳組織において核染色画像を大規模撮影するための準備を行った。透明化した脳組織を核染色し、共焦点顕微鏡により3次元的に広視野撮影を行うことで、十分な数の核画像を高分解能で撮影できることを確認した。特に申請者は2018年9月に理化学研究所から金沢大学に移動したが、理化学研究所で行っていたものと同等の撮影を現状の共通機器設備においても行うことができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生きた細胞のオープンクロマチン領域を非侵襲的に可視化できるプローブの開発に成功した。脳組織において核染色画像を大規模撮影することに成功した。これらについては予想以上の進展が得られたと考えられる。ただし、2018年9月に金沢大学に移動したため、それに伴う実験環境の整備を行う必要があったため、数カ月ほど実験の進行が停滞した。
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今後の研究の推進方策 |
共焦点顕微鏡による核染色画像の3次元広視野撮影を行い、マウス脳組織において本手法を用いた新しい機能解析法を開発する。特に移動先の現所属では自閉症モデルマウスを有しており、本疾患モデルを中心に様々な応用を行う予定である。
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