標的分子を選択的にリソソームにて分解する選択的オートファジーの障害が疾患発症の要因になりうることが明らかになりつつある。本研究課題では、選択的オートファジー関連タンパク質の一つであり、自閉症スペクトラム症の原因遺伝子として同定されているAlfyに焦点を絞り、1) Alfyの制御する細胞機能とその分子機構、2) 個体レベルにおけるAlfyの生理機能、そしてこれらを統合することで 3)Alfyとヒト疾患との関連の解明を目指し解析を進めた。 前年度の解析により、Alfy相互作用タンパク質として細胞内小胞輸送経路に関連するタンパク質群が同定されていたためAlfyの細胞内局在を調べたところ、初期エンドソームないしはリサイクリングエンドソームに局在するRab11やRab35と共局在した。Alfyは神経細胞での発現が強いことから神経突起形成との関連を調べたところ、Alfyの過剰発現により神経突起の伸長が促進されることを確認した。これは過去に報告されている活性型Rab35の過剰発現と類似した表現型であった。Alfyの個体での生理的意義を解析するため、神経特異的Alfyノックアウトマウスを作成した。出生したマウスは成長遅延を示し、神経変性疾患様の行動異常を認めた。さらに、Alfy欠失脳は嗅球、前頭葉、後頭葉、小脳の発達不全を示した。以上のことから、AlfyはRabを介したメンブレントラフィックの制御から、脳の発達に関わることが示唆された。
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