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2019 年度 実施状況報告書

核-細胞質間の輸送因子による脳機能制御と精神疾患の発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15044
研究機関福井大学

研究代表者

盛山 哲嗣  福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (50627990)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードエストロゲン受容体 / 核-細胞質間輸送
研究実績の概要

本研究では、エストロゲン受容体α (ERα)の細胞内分布とシャトリングに着目した。現在までに行った研究は以下の通りである。
前年度に、ERαとimportin-αとの結合を確認した。そこで本年度は、核内輸送受容体importin-α及び核内輸送担体importin-β1が、ERαの核内輸送に関与しているのかを調べるため、ERαの核局在化シグナル(NLS)断片を作製し、in vitro transport assayを行った。その結果、importin-αとimportin-β1の両方を加えた場合でのみ、能動的に核内へ運ばれることが明らかになった。また、importin-αにはサブタイプが存在するが、そのうち特定のサブタイプがERαの核内輸送に関わることが示され、さらにそのサブタイプは、細胞質に存在するERαのシャペロンの働きを持つことが示唆された。
前年度に、NLSに変異を入れたERαを作製し、ERαの核から細胞質への移動に関わる因子を特定した。本年度は、この新規因子とERαとの関係性を調べた。結合実験を行った結果、新規因子がリガンド依存的にERαと結合するが、一方で、核内の環境では外れてしまうことから、予想に反して、新規因子がERαの核外輸送因子ではないことが示された。さらに両者の結合と局在への影響を調べるため、ERαの様々な変異体を作製し、ERαの新規輸送因子との結合領域を調べたところ、少なくとも2箇所で結合し、その1つがERαのNLS領域であることを特定した。ERαのNLS領域におけるimportin-αと新規因子との競合実験を行ったところ、両者が競合することが明らかになった。以上の結果は、特定した因子は、細胞質に存在するERαとリガンド依存的に結合し、importin-αがNLS領域で結合するのを競合阻害することで、一部のERαを細胞質側に留めていることを示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は、特定した因子が、ERαの核外輸送因子であると想定し実験計画を立てていたが、予想に反して、核外輸送因子ではないことが明らかになった。このため、当初予定していなかった、ERαの核-細胞質間シャトリングにおける新規因子の役割を調べるための実験を行う必要性があり時間を費やしたため、進歩状況がやや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

ここまでのERαの細胞内分布とシャトリングについて、想定以上に興味深いデータが得られたので、現在これらの研究成果について、国際誌に投稿する準備を行っている。それと同時に、神経細胞におけるERαの細胞内分布を調べるための実験系を確立し、神経機能における核-細胞質間輸送因子や新規因子の役割を明らかにしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画がやや遅れており、マウスを使った実験などが計画通り十分には進んでいないため、次年度使用額が生じた。使用計画として、引き続きマウスを使った実験系の確立のための費用や論文投稿費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Analysis of molecular determinants of estrogen receptor α mobility2019

    • 著者名/発表者名
      Tetsuji Moriyama, Yoshihiro Yoneda, Masahiro Oka, Masami Yamada.
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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