本研究は生体心臓を用いて領域ごとの代謝相違を明らかにし、細胞の成熟や性質維持における機序を解明することを目的としている。生体マウスの心臓を用いて、領域ごとの代謝産物量の測定を行った結果、心房と心室では特に多くの代謝産物の蓄積に違いがあることを明らかにした。そこで、これらの代謝相違が各心筋の生存や性質維持に関与しているのか明らかにするため、複数の細胞種が混在する生体組織ではなくヒト多能性幹細胞から心房筋を誘導する手法を検討し、高効率で誘導させることに成功した。またトランスクリプトーム解析・プロテオミクス解析等の解析により、心房筋が心室筋に比べてエネルギー代謝がより活性化していることが示唆された。
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