研究課題
マクロファージにおけるMKL1遺伝子の高発現性が冠動脈硬化症の遺伝的危険因子であることから、樹立したマクロファージ特異的にMKL1遺伝子を高発現するトランスジェニックマウス(MKL1-TgM)を用いて、MKL1遺伝子の動脈硬化症における役割をin vivoで検討した。その結果、動脈硬化モデル動物であるApoE欠損マクス(ApoE-KO)と交配して作製したApoE-KO/MKL1-TgMは、コントロールであるApoE-KOに比べ、動脈硬化病態形成が促進し、動脈硬化巣におけるマクロファージの蓄積がより顕著であることを見出した。次に、MKL1遺伝子による動脈硬化促進の分子メカニズムを解析するため、MKL1の発現増強によるマクロファージ機能への影響を検討したところ、ApoE-KO/MKL1-TgMの骨髄由来マクロファージ及び動脈硬化巣に集積したマクロファージいずれも細胞増殖能が亢進していた。一方、MKL1はマクロファージの細胞生存能にも寄与しており、これらの制御はPI3K/Akt及びMAPK/Erkといった細胞生存・増殖に関わる細胞内シグナル伝達経路の増強と関連することを見出した。さらに、MKL1-TgMのマクロファージにおける遺伝子発現制御を網羅的に検討した結果、MKL1の発現増強は、冠動脈疾患との関連が最もよく知られているCDKI2AとCDKI2B遺伝子ファミリーの発現を抑制していることを突き止めた。これらの結果から、マクロファージにおけるMKL1遺伝子の高発現性は、動脈硬化の促進因子であることを証明できた。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Journal of Molecular and Cellular Cardiology
巻: 133 ページ: 26~35
https://doi.org/10.1016/j.yjmcc.2019.05.015
http://www.tmd.ac.jp/press-release/20190605_1/index.html