ユビキチン用修飾システムUFM1システムは翻訳後修飾(UFM1化)を行うことにより標的タンパク質の機能変換を行うと考えられている。最近、私たちはUFM1システムに関する遺伝子変異によりUFM1システムの活性低下が起こると、てんかんや小頭症などの重篤な発達障害を引き起こすことを明らかにしてきた。しかしながら、原因となるUFM1の標的分子が未同定であることからその分子メカニズムが不明であった。質量分析を用いることでUFM1の新たな標的遺伝子としてNADH-Cytocrome b5 Reductase 3(CYB5R3)を同定した。これまでにCYB5R3の変異はUFM1システムに関する遺伝子変異による患者と同様の症状を示すことが報告されている。in vivoとin vitroの解析の結果、CYB5R3は214番目のリジンがUFM1化されること、UFM1による修飾を受けるとCYB5R3からフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)がはずれ、CYB5R3の活性が消失することを見出した。このことからCYB5R3はUFM1により活性が抑制されている。 また、オーストラリアの重度発達障害の患者からUFM1のE1酵素であるUBA5の新たなホモ接合変異(p.Arg11Trp)を同定した。この患者ではこれまでに報告してきたUFM1システムに関する遺伝子に変異をもつ患者同様にてんかんや運動障害などの症状がみられた。
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