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2019 年度 実績報告書

生体内に蓄積した老化細胞除去とその加齢性疾患発症予防への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K15065
研究機関大阪大学

研究代表者

脇田 将裕  大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (70794668)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード細胞老化 / セノリティックドラッグ
研究実績の概要

老化細胞を選択的に死滅させる効果を持つ薬剤(セノリティックドラッグ)を大規模な化合物ライブラリーを用いたハイスループットスクリーニングを元に絞り込み、BET(Bromodomain and extra-terminal domain)阻害剤であるARV825がセノリティックドラッグとして最も強い効果を有することがわかっていた。
そこで、ARV825による老化細胞の細胞死誘導の分子メカニズムについて解析したところ、BETファミリー蛋白質BRD4を分解することで、老化細胞で主に働くDNA二本鎖切断の修復機構である非相同末端結合(non-homologous end-joing)の阻害と同時にオートファジー関連遺伝子の発現上昇が引き起こされ、アポトーシスによる細胞死が生じることを見出した。
さらに、ARV825が生体内において、セノリティックドラッグとして効果を有することを確認するため、がん細胞を移植したマウスに抗がん剤であるドキソルビシンを投与し、その後ARV825を投与したところ、ドキソルビシン単剤投与で生じるがん組織内の老化細胞が減少し、がんの成長抑制効果が単剤投与よりも顕著であった。また二剤投与によるがん抑制効果にはオートファジーが必要であることが示唆された。
抗がん剤や放射線治療後に生き残った一部のがん細胞が細胞老化様の性質を示し、SASPによりがんの再成長を促す報告があるが、本研究を通じてセノリティックドラッグは、そのプロセスに対する抗がん剤の補助薬として有効である可能性を示した。今後は、今回発見した老化細胞の脆弱性に着目し、より安全かつ効果的なセノリティックドラッグの開発へ発展することが期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] A BET family protein degrader provokes senolysis by targeting NHEJ and autophagy in senescent cells2020

    • 著者名/発表者名
      Wakita Masahiro、Takahashi Akiko、Sano Osamu、Loo Tze Mun、Imai Yoshinori、Narukawa Megumi、Iwata Hidehisa、Matsudaira Tatsuyuki、Kawamoto Shimpei、Ohtani Naoko、Yoshimori Tamotsu、Hara Eiji
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 1935 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41467-020-15719-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] High-throughput screening of senolysis drug uncovers cellular vulnerability of senescent cells2019

    • 著者名/発表者名
      脇田将裕
    • 学会等名
      2019年度 先端モデル動物支援プラットフォーム 成果発表会
  • [産業財産権] BET阻害剤及びその作用機序を利用した老化細胞除去2019

    • 発明者名
      原英二、脇田将裕、高橋暁子
    • 権利者名
      原英二、脇田将裕、高橋暁子
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特許2019-232148

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公開日: 2023-03-23  

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