研究実績の概要 |
申請書の研究計画に基づき、今年度は、間歇的低酸素(IH)曝露により影響を受けたアディポカイン遺伝子の転写調節機構の解明についての実験を行った。候補アディポカイン遺伝子(RETN, TNFα, CCL2)のプロモーター領域を同定するため、それぞれの遺伝子について種々の長さのプロモーター領域を単離し、ルシフェラーゼなどのレポーター遺伝子を持つプラスミドに挿入。このプラスミドを分化誘導した脂肪細胞に導入してIH曝露を行い、転写活性を測定。IH曝露により転写活性が影響を受けるシス領域の同定を試みた。ヒトCCL2, TNFα, RETNの転写開始点から上流約1kb~3.5kbをルシフェラーゼ遺伝子に連結したプラスミドをSW872に導入し、24時間Normoxia、IH曝露を行い転写活性を測定した。その結果、CCL2, TNFα, RETNの転写活性はIHによって上昇しなかった。そこで転写後調節の可能性を検討する事とした。RETN, TNFα, CCL2 mRNAと相補性を有するmiRをin silicoで検索した結果、miR-452が候補と考えられた。IH群では、有意にmiR-452発現量が低下していた(P=0.0458)。miRの合成に関与するDROSHAやDICERのmRNA量には有意な変化は認められなかった。miR-452 mimicの導入により、IH群で観察されたRETN, TNFα, CCL2 mRNA発現量の増加がみられなくなった。よって、SAS患者の脂肪細胞ではIHによって、miR-452が減少し、miR-452を介したRETN, TNFα, CCL2 mRNA分解機構が減弱し、RETN, TNFα, CCL2の発現上昇が起こると考えられた。 以上の研究成果について学会発表及び論文作成を行った。
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