研究実績の概要 |
申請書に基づく研究は2019年度までに終了した。今年度は、間歇的低酸素(IH)曝露と骨格筋や心筋の関連についての研究を行った。まずIHと骨格筋の関連について、マウス筋C2C12細胞とヒトRD筋細胞をIHとNormoxiaの条件にそれぞれ曝露後、GLUT4, TNFα, IL-6, IL-8, osteonectin, myonectin等のmRNAを測定した。IHにより糖尿病関連ミオカインIL-8、osteonectin、myonectinのmRNA量が有意に増加し、培養上清中の発現蛋白量も有意に増加した。IL-8, myonectin遺伝子ではOct1、osteonectin遺伝子ではNRF2結合領域がIHによる発現増加に必須であることが明らかになり、IHによる骨格筋細胞でのミオカインの発現上昇を介して耐糖能障害が増悪する可能性が示唆された。 次にIHと心血管系疾患を結びつけるメカニズムを解明するため、ラットH9c2およびマウスP19.CL6心筋細胞を、持続的な低酸素(SH)、IH、正常酸素のいずれかに曝し、mRNA及びタンパク発現を解析したところ、IHは再生因子Reg IVおよび肝細胞成長因子HgfのmRNAとタンパクを有意に増加させた。心筋細胞でのReg IVとHgfの役割を解析すると、SHでApoptosisが誘導され、Reg IVやHgfを培地に加えるとSHでもApoptosisが抑制され、replicative DNA synthesisが増強することが明らかになった。レポーターアッセイ、miRNA関与の可能性の検討では、IHはmiR-499を減少させ、miR-499によるmRNAの分解を阻害することで、Reg IVおよびHgfのmRNAレベルを上昇させ、Reg IV、Hgfが心筋細胞を低酸素によるアポトーシスから保護することが考えられた。 以上について学会発表を行った。論文作成中である。
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