研究課題
若手研究
肝様腺癌 (hepatoid adenocarcinoma) は、形態的にも免疫染色学的にも肝細胞のような形質を示す腺癌の特殊亜型として知られており、通常型の胃低分化腺癌と比べて生物学的悪性度が高いことが特徴である。21症例を対象として、臨床病理学的特徴をまとめた上で、十分な組織が残っている肝様腺癌15症例に関して、エクソーム解析及びRNA-sequencingを解析している。肝細胞癌及び通常型胃癌と比較解析することで、病理診断の基盤構築を目指す。
人体病理学
肝様腺癌は胃をはじめとして様々な諸臓器で報告されており、臨床現場では生物学的な悪性度が高いことが想起されている。臨床医の注目は高く、病理学的なデータを蓄積することは意義がある。また、欧米・アジアのいずれにおいても、肝様腺癌の症例報告は報告されているが、依然として腫瘍の発生経路や遺伝子変異に言及した報告はほとんどない。本研究成果がさらに進展すれば、病理診断の基盤構築や肝細胞形質に立脚した治療法が確立される可能性も考えられる。