静脈血栓塞栓症(VTE)は、深部静脈で形成された深部静脈血栓(DVT)が遊離し、肺動脈に塞栓することで生じる致死的な急性呼吸循環不全であり、その早期診断ならびに病態解明は喫緊の課題である。本研究では、静脈血栓の代謝産物解析、画像解析、病理組織学的解析により、病態解析を進めた。解析の結果、解糖系、プリン系、酸化還元関連代謝産物が赤血球に富む新鮮血栓を反映し、更に核磁気共鳴拡散強調画像が新鮮血栓を検出できることを明らかとした。また、VTEの発症率が高いことで知られる卵巣癌の解析により、癌組織の発現する血栓因子と炎症細胞の程度が、VTE発症と大きく関わることを明らかとした。
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