研究課題
正常組織では、タイト結合関連タンパク質のクローディン18.2(以下、CLDN18)は胃特異的に発現している。しかし近年、種々のがんでCLDN18が異常発現し、予後不良に関与することが報告されている。申請者は、ヒト手術材料を用いた免疫組織化学で、CLDN18が膵がん、胆管がんで高発現することを明らかにしてきた。また、細胞生物学的手法を用いて、CLDN18の高発現がERKの活性化と関連して胆管がん細胞の悪性化に寄与することを明らかにした。本研究では、がん細胞におけるCLDN18発現上昇の意義と役割について、がん細胞をとりまくがん微小環境との関連に焦点をあてて解明することを目的としている。これまでに、がん微小環境を模した複数培養条件下において、胆管がん細胞におけるCLDN18発現が変動することをウエスタンブロッティング法及び免疫蛍光染色法により確認し、タイト結合関連機能評価をおこなった。発現変動が見られた条件群について、さらにプロテオーム解析による網羅的発現解析を予定しており、発現変動が見られた条件群で培養した細胞から質量分析に供するためのタンパク質を抽出した。
3: やや遅れている
最終的な網羅的発現解析を行うための培養条件の選定に時間を要した。また、良好な免疫染色用抗体選定のための予備検討にも時間を要した。これらの予備検討完了後は、順調に進行しており、発現変動が見られた条件下で培養した細胞から質量分析に供するためのタンパク質を抽出し、プロテオーム解析の準備を進めている。
CLDN18発現変動が見られた条件群について、プロテオーム解析による網羅的発現解析をおこなう予定である。対照群と比較して変動のみられたタンパク質について、CLDN18発現との相互作用及びシグナル伝達経路について解析し、がん微小環境との関連について明らかにする。
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