研究課題/領域番号 |
18K15086
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
松村 舞依 横浜市立大学, 医学部, 助教 (50812997)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | EGFR変異肺腺癌 / MUC21 / 微小乳頭状亜型 / 全エクソーム解析 / バイオインフォマティクス解析 |
研究実績の概要 |
我々の研究ではこれまでに、高悪性度EGFR肺腺癌が微小乳頭状成分を伴うこと(Matsumura M et al. 2016 PLoS One)を示し、微小乳頭状組織亜型の悪性度を規定する分子基盤の解明を目標としてきた。我々はMUC21がこのような微小乳頭状成分に特異的に発現し、MUC21を高発現するがん細胞は特に悪性度が高いことを明らかにした(Matsumura M et al. 2019 PLoS One)。本課題では、EGFR肺腺癌凍結検体からマイクロダイセクションを用いて、MUC21染色陽性となる微小乳頭状成分と、MUC21染色陰性の非微小乳頭状成分、正常肺組織を単離し、それぞれから抽出したDNAを用いて全エクソーム解析を行った。得られたfastqファイルでバイオインフォマティクス解析を行い、微小乳頭状成分に特異的に変異を有する1762個の体細胞遺伝子変異を抽出、KEGG pathway解析によって発がんや細胞接着に関わる遺伝子が多く含まれていることが解明された。そこから変異に意味のある(アミノ酸置換がたんぱく質の構造に与える影響の大きい変異等) 32個の候補遺伝子を選び出した(松村舞依 他, 日本癌学会学術総会, 2019年)。これらの候補遺伝子について、全エクソーム解析に用いた同一症例に対しサンガー法での検証作業を行い、7個の遺伝子に絞り込んだ(松村舞依 他, 日本病理学会学術総会, 2021年)。さらに、症例を拡張してマイクロダイセクションを用いてEGFR肺腺癌凍結検体から、微小乳頭状成分(20例)と非微小乳頭状成分(10例)を切り分けた。今後はこの30症例に対して候補遺伝子のamplicon panel sequenceを行うことで、微小乳頭状組織亜型の悪性度を規定する分子基盤の解明に繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微小乳頭状成分を伴うEGFR肺腺癌の全エクソーム解析結果について、バイオインフォマティクスを行い、全エクソーム解析に用いた同一症例に対しサンガー法での検証作業を終えた。現在症例を拡張して、30症例のEGFR肺腺癌凍結検体に対して、マイクロダイセクションを行いDNA抽出したところである。コロナ禍で技術員の時間の確保が難しかったこと、次世代シーケンスを行うのに充分なDNA量を得られるマイクロダイセクションを行うのに時間を要した等の理由から進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マイクロダイセクションで微小乳頭状成分と非微小乳頭状成分を切り分けたEGFR肺腺癌30症例程度の別検体(凍結コンパウンド材料)で、候補遺伝子変異の有無を検証する。検証方法(研究計画書と一部内容を変更)は、次世代シークエンサーによるamplicon sequence解析を用いて、候補遺伝子の全エクソンにおける変異の頻度を調べる。 これらを完遂し、EGFR変異型肺腺癌の高悪性度病変に特有の遺伝子異常を同定するという研究目標を達成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)昨年度は、サンガー法での候補遺伝子の検証やEGFR肺腺癌30症例のマイクロダイセクションに時間を要し、次世代シークエンサーによるamplicon sequence解析に進むことができなかったため、物品費の執行が滞り、残額が生じた。
(使用計画)次年度は、次世代シークエンサーによる解析や免疫染色などに物品費を支出する予定である。
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