研究実績の概要 |
研究目的:本研究ではMSI陽性胃癌を抽出するために必要な免疫染色マーカーを明らかにし,HE染色像と免疫染色によりMSI陽性胃癌を早期癌の時点で診断する方法を確立することを目的とする.平成30年度は「2.MSI陽性早期胃癌の臨床病理学的特徴の解析を行う」ことを目的に研究を行った。早期胃癌119例を抽出しMSI陽性早期胃癌は46例とMSS早期胃癌73例のDNA-MMR関連遺伝子産物(MLH1, PMS2, MSH2, MSH6)の免疫染色を行いMSI陽性早期胃癌とMSS型早期胃癌の比較検討を行った。臨床病理学的検討ではMSI陽性早期胃癌の組織型においてpapillotubular を示す症例が有意に多く認められた(24例 対 6例、p<0.001)。DNA-MMR関連遺伝子産物の染色態度の比較において、核陽性、核陰性とheterogenityを3型(intraglandular-heterogenity, clonal-heterogenity, co-exist (intraglandular and clonal) heterogenity)に分類して検討した。MSI陽性早期胃癌においてMLH1陰性は37例、intraglandular-heterogenityは2例, clonal-heterogenityは2例, co-exist (intraglandular and clonal) heterogenityは認め無かった。また、5例のMLH1陽性を認めた。PMS2陰性は37例、intraglandular-heterogenityは0例, clonal-heterogenityは1例, co-exist (intraglandular and clonal) heterogenityは認め無かった。また、8例のPMS2陽性を認めた。MSH2およびMSH6において各々陰性は1例、intraglandular-heterogenityは1例, clonal-heterogenityと co-exist (intraglandular and clonal) heterogenityは認め無かった。また、41例のMSH2およびMSH6陽性を認めた。一方、MSS早期胃癌においてもMLH1陰性が3例、PMS2陰性が4例認められた。現在、上記MMR関連蛋白の発現とMSIとの関連の比較検討を行っている。
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