難治がんの代表である膵癌に対する治療が模索される中、腫瘍間質の修飾により免疫治療効果が顕著に増強されることが明らかとなりつつある。本研究は、患者組織の精緻な定量解析を用いて、ヒト膵癌における腫瘍内CD8+T細胞除去に中心的役割を果たす有力な因子として、ある特定の線維芽細胞サブタイプを見出し、この線維芽細胞サブタイプに富む膵がんは、強力な免疫抑制活性で特徴づけられる一群であることを発見した。この結果は、膵癌モデルマウスを用いた先行研究結果によって支持されるヒト組織でのエビデンスであり、免疫療法との併用を想定した間質標的治療の実現には、治療に反応する群を選定する患者層別が重要であると考えられる。
|