研究実績の概要 |
我々はこれまで、necl-4の発現が低下する膵管癌は予後不良で高悪性度であることを明らかにし報告した(Kawanishi A, et al. J clin pathol,2017)。本研究では、necl-4の発現を制御するmicro RNA (miRNA)の発現と機能について検討することを計画した。 2020年度は、miRNAマイクロアレイ検索においてnecl-4ノックダウン細胞で2倍以上の発現亢進していたmiRNAを対象として、膵癌の主要癌抑制遺伝子であるTP53、SMAD4を標的とするmiRNAの検索を行った。スクリーニングはTargetScan (http://www.targetscan.org/vert_72/)とmiRDB (http://mirdb.org/)を用い、両データベースでTP53またはSMAD4を標的とすると推定されるmiRNAを抽出した。その結果、TP53を標的とする2個のmiRNAとSMAD4を標的とする1個のmiRNAが抽出された。対象とする3個のmiRNAとTP53、SMAD4の発現をnecl-4ノックダウン膵癌細胞を用いてRT-qPCR法で検討した。その結果、necl-4ノックダウン細胞ではTP53、SMAD4が発現低下し、1つのmiRNAの発現が亢進していた。これらの結果よりnecl-4の発現低下が膵癌関連癌抑制遺伝子の発現低下およびそれを制御するmiRNAの発現亢進に関連することが示唆された。
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