研究実績の概要 |
2000年から2017年の間に当院で切除された肝上皮性悪性腫瘍の再レビューを行い、現行のWHO分類および新たな混合型肝癌のコンセンサスペーパー (Brunt et al. Hepatology 2018;68:113-126.)に基づいての分類を行った。これらの中で古典的な肝細胞癌 (classical HCC)以外を対象とした。症例の内訳は混合型肝癌のうち中間型肝癌が約40例、細胆管細胞癌が約30例、肝内胆管癌が約30例であった。 対象とした症例の臨床病理学的因子 (年齢、性別、背景の肝疾患の有無、最大腫瘍径、脈管侵襲の有無、肝内転移の有無、リンパ節転移の有無、腫瘍マーカー (AFP, PIVKA-II, CEA, CA19-9)の値など)を解析した。 またパラフィン切片を用いて、EZH2, H3K27me3などの免疫染色の条件の確立および実際の標本を用いた染色を行った。EZH2は以前から診断目的のためにしばしば用いられており、評価方法も確立されている。H3K27me3は正常組織においてもユニバーサルな発現が見られるとされている。今回解析の対象としている疾患群においては腫瘍細胞への発現の増強があることを我々は予想していた。ところが明らかな増強を示すものがある一方で、明らかな減弱を示す群も含まれていた。これらが何を意味するのか、過去の他のがん腫における報告等を参考にして検討を行っている。 遺伝子解析のための核酸の抽出を行った。対象としている遺伝子(EZH2)のシーケンシングは未施行である。
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