骨や軟部に発生する悪性非上皮性腫瘍(肉腫)には、病理診断が困難ないし不能な症例が一定頻度で存在し、診療の妨げとなっている。この研究では、分類困難な肉腫を臨床病理学的、遺伝子的観点から詳細に解析した。まず分類困難例において、治療標的である新規NTRK融合をはじめ、稀な遺伝子融合を複数同定し、新規疾患単位や亜型の提唱・確立に寄与した。また脱分化型軟骨肉腫など既知の腫瘍型においても、臨床的意義の大きい特異な群を発見した。さらに、間葉性軟骨肉腫におけるNKX3.1蛋白発現など腫瘍の診断に有用な新たな特徴も見出した。研究を通して、骨軟部腫瘍分類体系の精緻化や病理診断の精度向上に大きく貢献した。
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