新たに同定した長鎖非コードRNAが炎症性サイトカインであるIL-6やTNFα、GM-CSFなどの産生に極めて重要であることを示してきた。また、このメカニズムとして転写因子NF-kBのプロモーター領域への動員およびそれに続くRNAポリメラーゼIIの動員の低下による転写レベルにおける制御であることを明らかにしてきた。 本研究ではこの長鎖非コードRNAをゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウス(ノックアウトマウス)を作製し、個体レベルにおける炎症応答への寄与を明らかに することを目的とした。これまでにゲノム編集技術を用いて、ノックアウトマウスの作製に成功し、LPS投与によるエンドトキシン ショックに対して抵抗性を示 す一方で、硫酸デキストランナトリウム(DSS)誘導性大腸炎においては、ノックアウトマウスは感受性を示し、体重減少とともに早期に死亡した。腸管固有層の CD11b陽性マクロファージを単離し、炎症性サイトカインの発現を検討したところ、ノックアウトマウスでIL-6やIL12p40、GM-CSFの発現が顕著に低下していた。 野生型およびノックアウトマウスの腸管固有層細胞をフローサイトメーターにより解析したところDSS投与前の状態においてF4/80陽性、CD11c陽性であるM1マクロファージおよびLy6c陽性単球が長鎖非コードRNA欠損マウスにおいて増加していた。以上のことから、長鎖非コードRNAは定常状態においても腸管における過度な炎症を抑制し、腸管の恒常性維持において極めて重要であることが示唆された。
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