研究課題/領域番号 |
18K15125
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
神田 裕介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (80803949)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝転移予防 / Amigo2 / 化合物スクリーニング |
研究実績の概要 |
がん死の主たる要因である転移の予防手段は未だに確立されていない。特に、肝転移は生命維持器官である肺や脳への二次転移を引き起こすため、がん患者の予後改善には肝転移の予防が重要であると考えられる。申請者は、独自に樹立したマウス肝転移細胞株(LV12)において高発現するamphoterin-induced gene and open reading frame 2 (Amigo2)遺伝子が肝転移のドライバー遺伝子であることを報告してきた。さらに、先行研究では、200種類以上の阻害化合物をLV12細胞にそれぞれ添加培養し、Amigo2発現を減少させた6種類を見出した。本研究は、Amigo2発現を規定する上流分子を標的とした阻害化合物群から生体内で肝転移予防に実効する化合物のスクリーニングを行い、肝転移予防化合物を提示することを目的とした。本年度では先ず、LV12細胞に6種の化合物を72時間添加しても細胞傷害を与えない添加濃度を検討した。次に、既に確立している実験的肝転移モデルを用いて阻害化合物の実効性を検討した。移植には、ルシフェラーゼ遺伝子を導入したLV12細胞(LV12-Luc細胞)を使用した。LV12-Luc細胞に各化合物を細胞毒性が生じない濃度で24時間添加培養を行った後、1×106個をマウス脾臓内へ移植した。移植直後に脾臓内での腫瘍増殖を防ぐために摘脾した。移植7日目での肝転移抑制効果を3通りの指標(肝臓での発光量、肝表面の転移結節数、肝組織切片の単位面積当たりの肝転移巣数)から定量評価した。その結果、いずれの評価法においても、阻害化合物は6種類全てにおいて肝転移を抑制することが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脾臓内移植による肝転移モデルを用いて阻害化合物の肝転移抑制効果を評価できたため、概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究実施計画を予定通り遂行できた。従って、次年度には当初の研究実施計画に従い、ヒトがん細胞株による自然肝転移モデルを用いて阻害化合物の肝転移抑制効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入費が予定額より安価であったため次年度使用額が生じた。 次年度使用額と翌年度分の助成金を合わせて消耗品費等に使用する。
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