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2018 年度 実施状況報告書

間葉系幹細胞の運命を左右する新規細胞接着シグナル

研究課題

研究課題/領域番号 18K15127
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

金子 哲治  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20598255)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード細胞接着 / 幹細胞
研究実績の概要

幹細胞のホメオスタシスには栄養因子やニッチなどの外部環境が重要である。密着結合膜貫通分子JAMファミリー(JAMs)は上皮細胞のみならず様々な組織幹細胞に発現しているが、その役割についてはほとんど解明されていない。そこで我々は間葉系幹細胞のひとつである脂肪由来幹細胞(Adipose-derived stem cells; ADSC)におけるJAMsの発現分布とその機能を明らかにすべく研究を進めた。その結果8種類あるJAMsのうちJAM-BとJAM-Cが、ADSCやそのソースとなる脂肪組織間質血管細胞群の細胞表面に発現していた。そのうちJAM-Cは細胞外ドメインが切断を受けて可溶化(soluble JAM-C)され、脂肪組織間質の細胞外基質に沈着することを突き止めた。このsJAM-Cが幹細胞ニッチに貢献するという仮説のもと、これを培養皿にコートしてADSCを培養すると、ADSCの増殖能と幹細胞マーカーの発現量が共に亢進し、幹細胞培養への有用性が示された。JAM-BとJAM-Cの機能欠失、機能獲得、および変異体導入など分子生物学的方法論による検討で、このsJAM-Cによる幹細胞ニッチ機構は、sJAM-CとJAM-Bのヘテロな会合によってJAM-Bの細胞内ドメインがSrc依存性のリン酸化を受けることによるものであることがわかった。sJAM-Cは分子量30 kD未満と小さく、ラミニンなど既存のタンパク質コート材料よりも格段に安価に供給できる利点を有する。現在、JAM-CのうちJAM-Bとの会合に必要なドメインを同定し、コート剤として最小の機能ペプチドを同定すべく研究を進めている。また上記について国内特許およびPTC出願を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の通りsJAM-Cの幹細胞培養補助剤としての有用性を証明し、特許出願に至った。またその作用機序も順調に解明されつつある。

今後の研究の推進方策

分子生物学的手法によりシグナル経路をさらに明らかにし、今年度中に査読付き英文誌に原著論文として投稿する予定である。またヒト間葉系幹細胞への応用についても検討すべく準備している。

次年度使用額が生じた理由

今年度は既に所持していた抗体などを使用できたため、当初予定していたよりも少ない金額で研究を推進することができた。次年度はヒト幹細胞への展開も見据えて研究するため、消耗品費としてより多くの経費が必要である。さらに論文化にあたってオープンアクセス料が高騰傾向であるため、次年度の当初予算に加えて本年度余剰となった次年度使用額が必要と見込まれる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of a Newly Designed Microperforated Pure Titanium Membrane for Guided Bone Regeneration.2019

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa H, Masui S, Ishihata H, Kaneko T, Ishida D, Endo M, Kanno C, Yamazaki M, Kitabatake T, Utsunomiya S, Izumi K, Sasaki K.
    • 雑誌名

      Int J Oral Maxillofac Implants

      巻: 34 ページ: 411-422

    • DOI

      10.11607/jomi.6777

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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