研究課題/領域番号 |
18K15133
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
村上 祐輔 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (50757325)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Toll-Li ke Receptor 9 / アレルギー性喘息 / TLR9阻害抗体 |
研究実績の概要 |
アレルギー性喘息は、近年罹患者数が増加しており、ステロイド剤抵抗性を示す患者がいることから、新規の治療標的の同定や治療法の開発が社会的に求められている。アレルギー性喘息の主要な原因の一つとして、ダニ抗原がある。そこで、本研究では、ダニ誘導アレルギー性喘息の新規治療法開発を目的として、一本鎖DNAを認識するToll-Like Receptor (TLR9)に注目した。TLR9は、その合成リガンドであるCpG-DNAによる刺激で、喘息病態を負に制御することが報告されているものの、実際のアレルギー病態での機能は、ほとんど不明である。そこで我々は、TLR9ノックアウトマウスを用いて、ダニ誘導性アレルギー性喘息モデルを誘導し、野生型マウスの病態と比較した。その結果、TLR9ノックアウトマウスでは、アレルギー病態を形成するのに重要な、肺に浸潤する免疫細胞、特に好酸球浸潤、Th2サイトカイン産生、血清IgE抗体価などが減少していた。これらの内容は、2018年度日本免疫学会学術集会で報告した。さらに、以前より、我々は、TLR9応答を阻害するモノクローナル抗体を樹立済みである。そこで、喘息モデルを誘導した野生型マウスにTLR9阻害抗体を投与して、コントロール抗体と病態を比較して治療効果を評価することにした。現在、治療効果について解析を進めているところである。今後、どのようにしてTLR9が活性化して、アレルギー病態を増悪するのか検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TLR9ノックアウトマウスにおいて、ダニアレルギー性喘息モデルの病態が抑制されることが示唆された。さらに、TLR9中和抗体でも病態を抑制するデータを得つつある。これは、TLR9がアレルギー性喘息において抗体医薬の治療標的になりうることが推察される。今後、さらに解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
TLR9ノックアウトマウスおよびTLR9中和抗体の病態抑制効果が示唆されるデータを得つつあるため、今後は、TLR9応答がどのようにアレルギー病態に関与しているのかを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、研究計画が順調に進んだことで、実験用マウスおよび試薬の使用が比較的抑えられたため、物品購入費も抑えられ次年度使用額が生じたと推測できる。次年度は、さらに実験用マウス、実験用試薬、キット、検査の外部注文および学術論文投稿準備に助成金を使用する計画である。
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