研究実績の概要 |
TgGIF欠損トキソプラズマを作製しマウスに感染実験を行った。TgGIF欠損トキソプラズマは病原性がマウス生体で極めて低かった。次に細胞レベルでのIFN-γ誘導性GTPase依存的な免疫応答を検討した。MEF及びBMMFに野生型及びTgGIF欠損原虫を感染させ、IFN-γ誘導性GTPaseであるIRGA6, IRGB6及びGBP1, GBP2, GBP1-5のトキソプラズマへの動員について共焦点顕微鏡を用いた免疫染色法で検討した。TgGIFはGate-16を標的とすることから、IFN-γ誘導性GTPaseの細胞な局在が変化することが考えられ、野生型原虫感染後にIFN-γ刺激した際のIFN-γ誘導性GTPaseの局在が細胞内凝集体にあるかを、共焦点顕微鏡で検討した。その結果、TgGIF欠損トキソプラズマの周囲へのIFN誘導性GTPaseの蓄積率が野生型原虫と比べて低下していることが分かった。またIFN-γ刺激による1細胞当たりの原虫数の低下および感染率を測定し、TgGIFの作用が増殖抑制(前者)なのか、それとも殺傷(後者)にあるのかを検討し、TgGIFの酵素活性が必要であるかどうかについてもTgGIF 変異導入原虫を用いて検討した。また、生体レベルでTgGIF依存的な病原性機構を明らかにするために、蛍光タンパク質(YFP)およびルシフェラーゼ発現野生型原虫とTgGIF欠損原虫をマウスに感染させ、腹腔およびfootpadからの原虫の拡散を生体イメージング装置(IVIS)で経時的に検討した。さらに腹腔液および脾臓を採取し、炎症性単球及び好中球のどちらにTgGIF欠損原虫が感染しているのかを検討し、野生型原虫との免疫応答の差を解析した。その結果、TgGIF欠損トキソプラズマは細胞レベルでの病原性が低いため、マウス生体レベルでも病原性が低くなっていることが判明した。
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