TgGIFはGate-16を標的とすることから、IFN-γ誘導性GTPaseの細胞な局在が変化することが考えられ、野生型原虫感染後にIFN-γ刺激した際のIFN-γ誘導性GTPaseの局在が細胞内凝集体にあるかを、共焦点顕微鏡及び超解像度顕微鏡(SIM)で検討した。その結果、さらにTgGIFによってGate-16小胞の局在が変化することが分かった。またIFN-γ刺激による1細胞当たりの原虫数の低下および感染率を測定した結果、TgGIFの作用が殺傷の抑制にあることが分かった。生体レベルでTgGIF依存的な病原性機構を明らかにするために、蛍光タンパク質(YFP)およびルシフェラーゼ発現野生型原虫とTgGIF欠損原虫をマウスに感染させ、腹腔およびfootpadからの原虫の拡散を生体イメージング装置(IVIS)で経時的に検討したところ、野生型原虫との間に免疫応答の差があることがわかった。TgGIFが結合する宿主因子を網羅的に同定した結果、IRGB6を標的とすることが分かった。IRGB6はインターフェロン誘導性のGTPaseであり原虫の寄生胞膜を破壊する重要な宿主免疫分子である。TgGIF結合タンパク質にHAタグを付け発現させ、その局在についてTgGIFと同じであるか共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫染色法あるいは免疫電顕法で検討したところ、TgGIFとIRGB6は共局在することが分かった。さらにIRGB6は寄生胞膜上のフォスファチジルセリンおよびフォスファチジルイノシトール5リン酸を認識するが、TgGIFはその認識を阻害することが分かりつつある。以上のことから、TgGIFはインターフェロン誘導性GTPase依存的な宿主免疫機構をGate-16とIRGB6を標的にすることで抑制する新規病原性メカニズムが分かってきた。
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