研究課題/領域番号 |
18K15140
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
坪川 大悟 北里大学, 医学部, 助教 (30714901)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蠕虫 / 宿主応答 / 幼虫体内移行 / カルシウム結合タンパク質 / RAGE |
研究成果の概要 |
本研究では消化管寄生蠕虫の糞線虫の分泌物中から,新規のカルシウム結合タンパク質「ベネスタチン」を同定し,機能解析を行った。ベネスタチンは終末糖化産物受容体(RAGE)に結合し,炎症性サイトカインや細胞接着分子の発現の抑制により,糞線虫感染による炎症細胞の浸潤を緩和することを明らかにした。さらに,糞線虫はベネスタチンの抗炎症機能を利用して,ニッチである消化管への移行を有利に進めることが示唆された。炎症性腸疾患やアレルギー性喘息の発症にはRAGEが関与することが知られており,ベネスタチンが持つ治療効果が期待される。
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自由記述の分野 |
蠕虫学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,消化管寄生蠕虫の分泌物がマクロファージを誘導し,大腸炎モデルマウスの病態を緩和することが報告されており,寄生蠕虫が有する抗炎症物質が炎症性疾患に対する治療薬候補として注目されている。ベネスタチンのようなカルシウム結合タンパク質は多くの寄生蠕虫種に存在しているが,遺伝子単離や機能解析が成されたのはベネスタチンが世界初である。ベネスタチン/RAGEを介する抗炎症機構を解明した本研究成果は,癌,糖尿病,喘息,潰瘍性大腸炎,アルツハイマー病などのRAGE介在性炎症性疾患の新規治療法としての応用が期待できる。
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