宿主には侵入してきた病原性真菌を高濃度の銅によって殺菌する免疫システムが備わっているが、その作用機序には未だ不明な点が存在する。更に近年、病原性真菌アスペルギルスフミガタスではアゾール系薬剤を使用した治療過程により患者から出現するアゾール系薬剤耐性菌だけでなく、農薬の分布等による環境中に広く分布するアスペルギルスフミガタスのアゾール系薬剤耐性化株が問題となっている。これらのことから、高濃度の銅環境で継代培養されたアスペルギルスフミガタスの解析により得られた知見は宿主の免疫システムの作用機序やアゾール系薬剤以外の新規の薬剤標的因子の発見と治療法の開発に役立つ可能性があると考える。
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