研究課題/領域番号 |
18K15145
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
安藤 公英 (北尾公英) 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員 (80462787)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 細菌感染 / レジオネラ / 脱ユビキチン化 / v-SNARE / 小胞輸送 |
研究実績の概要 |
Legionella pneumophila (レジオネラ)は、重篤な肺炎を引き起こす病原細菌である。IV型分泌装置を介して輸送する多くのエフェクタータンパク質の働きにより宿主小胞輸送経路をハイジャックし、小胞体膜由来の液砲(LCV)を作り出してその中で増殖することで感染を確立する。申請者らはこれまでにレジオネラの機能未知エフェクタータンパク質LpgXがCOPI小胞と相互作用することを見出した。COPI小胞は宿主細胞においてゴルジ体からERへ輸送される小胞輸送系である。本研究では、レジオネラLpgXが、COPI小胞系との相互作用を介してどのようにレジオネラの宿主内増殖に寄与しているのかを明らかにすることを目指す。本年度は、下記の点について解析を行なった。
1. LpgXの標的タンパク質の同定:前年度の研究から、LpgXはK63リンクのユビキチン鎖を特異的に切断するDUBとして機能することが明らかとなった。本年度は、宿主v-SNAREの一つがレジオネラ感染特異的にユビキチン化されることを見出し、感染後期にLpgXによって脱ユビキチン化されることが分かった。
2. LpgXが宿主小胞輸送に与える影響の解析:前年度の研究から、LpgXは核周囲とER近傍に局在することがわかり、その局在にはLpgXのC末端にある2回膜貫通ドメインが必須であることが明らかとなった。また、LpgXがCOPI小胞のコートタンパク質は共局在した。そこで、VsvG Trafficking assayとSEAP assayを行った結果、 LpgXは宿主小胞輸送を阻害することが分かり、その阻害には脱ユビキチン化活性とC末端にある膜貫通領域が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り研究が進み、LpgXの標的タンパク質を同定し、宿主小胞輸送に与える影響の解析を完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はLpgXによって脱ユビキチン化される宿主タンパク質を同定することができた。次年度は、レジオネラ感染後期に起こるLpgXによるこの脱ユビキチン化がレジオネラ感染においてどのような役割を果たしているのかを明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文公表に向けて追加実験を実施する必要があるため。
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