研究課題
若手研究
腸管出血性大腸菌(EHEC)が有する志賀毒素(Stx)ファージの配列解析等によって、Stxファージや類似ファージが同毒素産生に与える影響を考察した。EHEC O157の解析では、Stxファージおよび類似ラムダファージ欠損株を作製した結果、一部のStx類似ラムダファージ欠損株では、Stx産生パターンが変化することが明らかとなった。EHEC O111等におけるStxファージ塩基配列全長の決定などによって、同一血清型内でも複数種のStxファージが存在すること、血清型が異なっても同一のStxファージが検出されることなどを明らかにした。
病原細菌学
腸管出血性大腸菌(EHEC)は、国内で年間3,000名以上の感染者が報告され、溶血性尿毒症症候群等の重症例では患者が死に至ることもある。同感染症の重症化には、志賀毒素(Stx)の産生が関与しており、同毒素のサブタイプや産生量が重要であると考えられる。しかし、Stxファージの多様性Stxファージの多様性やファージ間の作用については、不明な点が多い。本研究で明らかとなった知見は、今後同感染症の治療や予後予測に有用であると考えられる。