エボラウイルスやニパウイルスなど、コウモリを自然宿主とするウイルスの中には、ヒトに致死的な病原性を引き起こすものが存在する。しかし、ヒトへの感染性獲得機序について不明な点は多い。本研究では、ネルソンベイレオウイルスのコウモリ分離株とヒト分離株のσCの違いが感染性、病原性の違いを決める重要な要因であることを明らかにした。さらに、コウモリおよびヒト分離株間での感染性・病原性の違いは、σC受容体との吸着能ではなく、σCの構造的安定性によるものであることが明らかとなった。本研究成果は、コウモリからヒトへの感染性を獲得し、ヒトで病原性を示すウイルスの感染性獲得機構の理解に有益な知見を与えると期待される。
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