研究課題/領域番号 |
18K15172
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
藤野 寛 麻布大学, 獣医学部, 助教 (40712617)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内在性ボルナウイルス / 非レトロウイルス性内在性ウイルス / ボルナウイルス |
研究実績の概要 |
近年、非レトロウイルス性ウイルス由来の配列が様々な動物ゲノムで見つかっている。中でも、ボルナウイルス属のN遺伝子が内在化した配列である内在性ボルナウイルス様N因子(EBLN: Endogenous Bornavirus-like N element)はヒトを含む多くの動物ゲノムで発見されている。特に、ヒトに内在化したEBLNの一つであるhsEBLN-2(homo sapiens EBLN-2)は約4000万年前に内在化したにも関わらず、現在でもmRNA及びタンパク質の発現が報告されている。申請者の研究により、hsEBLN-2はヒト由来の配列と融合したタンパク質として発現し、ミトコンドリア局在を示すことが判明している。このことから、hsEBLN-2はイグザプテーションにより新たな機能を獲得している可能性が示唆された。本研究では、内在性ウイルスが宿主由来配列と融合することにより獲得したと考えられる新たな機能の解明を目指している。30年度は研究計画に基づき、プロモーターアッセイによる発現解析を中心に研究を進めた。その結果としてhsEBLN-2 mRNA開始部位の上流にプロモーター活性を示す箇所が見つかった。更に詳細に部位を分けて検討した結果として、プロモーター活性を抑制する領域の存在も示唆された。また、これらのプロモーター活性がどのような条件で変動するかを様々な試薬を用いて細胞内環境を変えることで検討した結果、アポトーシス誘導試薬を用いた際にプロモーター活性が低下することが判明した。また、これらの結果をリアルタイムPCRで確認したところ、hsEBLN-2 mRNAの発現は他の遺伝子や他のhsEBLNと比較して、アポトーシス誘導時に著しく減少することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ研究計画に基づき順調に進んでいる。プロモーターに関する解析はある程度の結果が得られており、これらの結果から強制発現系及びノックダウン系の実験を進める予定である。これらに先んじてすでにタンパク質の局在ドメインの決定を行っており、hsEBLN2のミトコンドリア局在に重要な領域の決定も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画に基づき、強制発現及びノックダウン・アウトの系を用いて培養細胞における機能解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究において使用予定であった機器・試薬に関して当研究室において進めている別の研究と共同で進めることにより初年度使用額が予定よりも少なくなった。そのため、本年度行う予定である、ノックダウンの系に加えてノックアウト系もおこなう予定である。
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