研究課題/領域番号 |
18K15181
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
野中 さおり 安田女子大学, 薬学部, 助教 (40767787)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Spz5 / Toll / 感染非依存の免疫活性化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は(1)Spz5が非感染時に働く内因性のTollリガンドであることを示すこと、(2)Spz5-Toll下流の情報伝達分子の特定、(3)Spz5-Toll経路のin vivoでの感染非依存の免疫活性化への関与の検証である。平成30年度はこのうち、(1)と(2)の目的が達成できた。具体的な内容は以下のとおりである。
(1)Spz5を外来発現させた細胞の抽出液をToll下流で働く抗菌ペプチド「Drosomycin」のレポータ―細胞に添加した。その結果、外来発現なしの細胞抽出液添加時と比べ、Drosomycinプロモーターの活性化が検出された。さらにSpz5依存のプロモーターの活性化は、TollのRNAiを誘導したレポーター細胞を使用した時には検出されず、Spz5の作用はToll依存であることがわかった。以上の結果から、Spz5がTollの内因性リガンドであると結論した。また、CRISPR-Casシステムを用いてSpz5の遺伝子欠損ショウジョウバエを作製し、何の感染操作も行っていない幼虫の抽出液について、Drosomycinプロモーターの活性化レベルを上記と同様の方法で測定した。すると、野生型と比べてその活性が低かったことから、Spz5はin vivoで感染非依存に働く内因性のTollリガンドであると考えられた。
(2)Spz5の外来発現細胞の抽出液を、既知のTollリガンドSpzで活性化時にTollの下流で働く「dMyd88」のRNAiを誘導したDrosomycinレポーター細胞に添加した。その結果、RNAi未誘導時に比べてDrosomyinプロモーターの活性化が抑えられたことから、dMyd88は、Spz5-Toll下流の情報伝達分子であると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは行う実験の順番が変わってしまったが、前述の3つの目的のうち、2つがすでに達成したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は3つ目の目的「(3)Spz5-Toll経路のin vivoでの感染非依存の免疫活性化への関与の検証」に関する実験を行っていく。そのために、申請者の研究グループが独自に開発した「ショウジョウバエの幼虫をピンセットでつまんだだけで、抗菌ペプチドDrosomycinが産生される」というモデル系を用い、Spz5遺伝子欠損ショウジョウバエの幼虫ではそのような異常な免疫の活性化が起きないかどうかを調べる。この現象への関与が認められなかった場合は、Tollが発生にも関わる受容体であることから、Spz5-Toll経路の発生への関与を調べるという方針に切り替える。
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