研究課題/領域番号 |
18K15190
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齊藤 泰之 神戸大学, 医学研究科, 講師 (40508842)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 樹状細胞 / ストローマ細胞 / CD47 / SIRPα / 自己免疫性疾患 |
研究実績の概要 |
本研究では、細胞間シグナルCD47-SIRPα系による免疫制御、特に樹状細胞(DC)を介した多彩な免疫制御機構に関して、DCの恒常性の制御やストローマ細胞の機能制御、さらには自己免疫応答の制御につき、CD47-SIRPα系によりDCがもたらす多彩な機能を明らかにする。本年度は以下の項目について明らかにした。 1. DC における内因性SIRPα シグナルの同定とその制御機構の解明:本年度はSIRPαによるDC恒常性の制御機構について、DC特異的SIRPα欠損マウスやTamoxifen誘導SIRPα欠損マウスを用いて詳細な解析を行うと共に、CD47-SIRPαの結合様式として同一細胞上のCD47とSIRPαとが結合する可能性を近接ライゲーションアッセイ(PLA)を用いて明らかにした。 明らかにした。 2. リンパ節再構築におけるCD47-SIRPα 系による制御機構の解明:本年度は樹状細胞によるストローマ細胞の制御樹状細胞上のSIRPαがストローマ細胞、特に細網線維芽細胞(FRC)の増殖を直接制御し、リンパ組織の再構築に重要な役割を担っていることをin vivoの実験系を用いて明らかにした。さらにストローマ細胞側のCD47もリンパ組織の再構築に関与しており、二次リンパ組織の再構築において、樹状細胞ーストローマ細胞間のクロストークが重要であり、CD47-SIRPαシグナルその制御に重要であるとことが示唆された。 3. CD47-SIRPα シグナルによる自己免疫応答の制御機構の解明:本年度は実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用い、EAE発症時ならびに病態維持におけるCD47-SIRPα 系の役割について検討を行った。EAE発症時においては樹状細胞上のSIRPαはTh17細胞の分化誘導に重要な役割を担っていること、さらに脳脊髄内への炎症細胞の浸潤に重要な役割を担っていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた個々の実験や解析が順調に進行し、十分な研究結果が得られたため、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
目的1に関しては、引き続きDC特異的SIRPαおよびCD47 cKOマウスを用い、DCの恒常性におけるこれらのシグナルの役割について検討を行う。目的2に関しては、二次リンパ組織ストローマ細胞におけるCD47の役割について詳細な検討を行うと同時に、各種ストローマ細胞特異的CD47ノックアウトマウスを作成し、リンパ組織再構築におけるCD47の役割について詳細な解析を進めていく。目的3に関しても、樹状細胞上のSIRPαが自己免疫応答においてCD47とどのように相互作用しているのか明らかにする目的で、各種免疫細胞特異的CD47 cKOマウスを作製し、自己免疫応答時におけるCD47-SIRPα 系の詳細な役割を明らかにする。
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