研究課題/領域番号 |
18K15195
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊永 憲司 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (90791567)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自然免疫受容体 / 真菌感染症 |
研究実績の概要 |
皮膚や粘膜に常在真菌として定着しているCandida albicans(C. albicans)は、日和見感染症として播種性カンジダ症などの重篤な症状を引き起こす。宿主免疫系によるC. albicansの認識と防御には、C型レクチン受容体(CLR)であるDectin-1/Dectin-2とそのシグナル分子CARD9を介した自然免疫活性化が重要な役割を担うが、この経路の詳細な制御機構は分かっていない。我々は、CLRを介した自然免疫活性化の制御機構を研究する中で、Trem2(triggering receptor expressed on myeloid cells 2)が、 CLRを介した活性化シグナルの抑制に寄与している可能性を見出した。Trem2欠損マクロファージでは、 C. albicans刺激に対する炎症性サイトカイン産生が増強されることから、当該年度は、同様に真菌排除に重要とされる活性酸素種の産生に関して解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞透過性の活性酸素インジケーターを用いて、Trem2欠損細胞における活性酸素種の産生を解析した。骨髄由来マクロファージや樹状細胞、腹腔内チオグリコレート投与によって得られた腹腔内浸潤マクロファージなどを用いて、Heat-killed C. albicans刺激を行なったが、この系においては、野生型及びTrem2欠損マウス由来の細胞で産生量に有意な差は認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Trem2欠損マクロファージにおけるDectin-1/Dectin-2のタンパク発現量や、C. albicans刺激後のMAPKsやPI3K、NFκB、Ca2+などの細胞内シグナルを解析し、Trem2が欠損することにより影響を受ける分子を解析する。また、野生型及びTrem2欠損マウスを用いて全身性カンジダ症のマウスモデルを実施し、感染後の生存率をモニターするとともに、感染臓器(腎臓、脾臓、肝 臓、肺)内の菌数、サイトカイン発現量(ELISA及びmRNAのqPCR解析)、組織病理の解析を行い、感染におけるTrem2の役割を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
異動により当初計画していた実験が行えず、次年度使用額が生じた。次年度に合算して使用する予定である。
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