研究課題
皮膚や粘膜に常在真菌として定着しているCandida albicans (C. albicans)は、日和見感染症として播種性カンジダ症などの重篤な症状を引き起こす。宿主免疫系によるC. albicansの認識と防御には、C型レクチン受容体(CLR)であるDectin-1とDectin-2、及びそのシグナル分子であるCARD9を介した自然免疫活性化が重要な役割を担うが、この経路の詳細な制御機構は分かっていない。我々は、CLRを介した自然免疫活性化の制御機構を研究する中で、Trem2 (triggering receptor expressed on myeloid cells 2)が、 CLRを介した活性化シグナルの抑制に寄与している可能性を見出した。In vitroでの検討から、Trem2欠損マクロファージでは、 C. albicans刺激に対する炎症性サイトカインの産生が増強されることを見出していたため、当該年度は、Trem2欠損マウスを用いてC. albicans感染実験を実施した。C. albicans SC5314株をマウスに感染させ、死亡率、臓器内菌数およびサイトカイン産生について解析を行なったが、野生型マウスと明らかな差は認められなかった。今後は、Trem2が、Dectin-1とDectin-2のどちらに依存した初期防御応答の制御に重要であるかを明らかにし、カンジダ感染防御における役割を検討したいと考えている。
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