悪性腫瘍に対する薬剤療法は、従来の細胞毒性薬から分子標的薬の使用へと転換が進み、抗体医薬品を使用したがん免疫療法が優秀な成績を収めている。一方、抗体医薬品を用いたがん免疫療法は、極めて高コストであることから、医療費の圧迫が問題視されている。本研究では、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を標的とした低分子化合物に着目し、HDAC阻害薬によるがん免疫療法への可能性を模索した。今回検討したHDACアイソザイムの選択的阻害薬の中に、腫瘍に対する免疫抑制を担う制御性T細胞の分化を抑制するだけでなく、腫瘍が免疫抑制を示すための細胞膜表面分子であるPD-L1の発現を抑制するものがあることを発見した。
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